10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです

お互い話さなくなってしまった。

「じ、じゃあ明日ね」

「あ、うん……」

自分から切りたくないな〜

お互いボタンを押さないけど敦美が先に言った。

「えっと……じゃあ切るね」

「うん……おやすみ」

「おやすみなさい」

敦美からボタンを押した。

電話って緊張する。

土屋くん、落ち着いた声だったな……

あんな声、耳元でささやかれたら……

敦美は真っ赤になった。

いや、何考えてるの私……恥ずかしい。



そういえば、中学の頃、1度だけ帰りに鬼ごっこを何人かでやったのを思い出した。

その時に確か鬼だった土屋くんに捕まえられたんだった。

足の速さも自信があったから絶対捕まらないぞと思っていたのに目が合って追いかけられた。

ダッシュで逃げたけど行き止まりになって
肩を捕まれた。


「ハァハァ、下田、足速い」

「悔しい…」

あの時も初めて男の子と近づいたのは初めてでドキドキしたんだった。

その後は鬼にはならなくてグランドの隅まで来ていた私達は息が整うまで2人でいた。

終了の声を聞いてみんなと合流したんだったな。

きっと私はあれから土屋くんを意識し始めたんだと思う。

明日もちゃんと話せるかな……
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