誓い~お前は俺が守る~
「━━━━しつけぇんだよ!会わせねぇ、よ!!」

「だからぁ!!
会わせ━━━━━━」
男の振り上げた拳が、パシンと掴まれた。

「え………」

「もういいだろ。
お前の相手は、俺だろ?」
男が振り向くと、鈴蘭が男の手首を掴み睨み付けていた。

「は?
何言ってんの?
お前は、姫君だろ?」

「は?お前が俺を呼んだんだろ?
だから、わざわざ会いに来てやったってのによ。
それはねぇだろ?」

「お前、頭おかしいんじゃね?
どう見ても、神馬の姫━━━━━
うぎゃぁぁぁーーー!!!?」

鈴蘭が、男を掴んでいた手を捻った。

「俺さ。
今、すこぶる気分わりぃんだよ。
それにお前の声、益々気分悪くなる。
黙れよ、雑魚が」

ボキボキ……と骨の折れる音がして、あまりの痛さに男が転げ回る。

それからは、まるで映画のようだった━━━━━

小さな鈴蘭に、男達が蹴散らされていく。

力の差は歴然だった。

素早く鈴蘭は相手の急所を狙い、男達は反撃も出来ぬまま倒れていく。

天馬達も、動けなかった。



「━━━━はい、終わり」
鈴蘭が言って、倒れた男達を睨み付けながら天馬に言った。

「天馬」

「あ?」

「この程度の男達なら、お前一人でやれるだろ?
なんで、とっととやんねぇの?」

「すずがいるから。
出来る限り、手は出さねぇって決めてんの!」

「フッ…そのすずに俺は呼ばれたんだが?」

「そうだな。
もういいだろ?
すずに身体を返せ!」

「なんで?」

「は?」

そこで、天馬に向き直る鈴蘭。

「俺さ。
思ったんだよなぁー
もう、すずは寝かせたままの方がいいんじゃねぇかってな」

「は?笑えない冗談やめろよ」

「俺は、本気だよ。
………………いつでも」

「返せ……!!!
早く、すずを返せよ」

「あ?
もう、お前等には任せてられねぇ。
すずは、俺が守る」

「は?
お前には、無理だろ(笑)」

「なんで?
俺なら、すずを“一番近くで、いつでも”守ってあげられる。
お前等みたいに“すずがいるから、手を出せねぇ”なんて、俺には関係ねぇしな」

「すずは、俺の女だ。
━━━━━━すず!!戻ってこい!!すず!!」
天馬の鈴蘭への呼びかけに、浬人達も一斉に呼びかける。

「すずー!!」
「すず!!戻ってこいよ!!」
「「「すずちゃーん!!」」」

「うるせ━━━━━!!!?うぅ……」
鈴蘭が頭を押さえ、うずくまった。
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