誓い~お前は俺が守る~
「━━━━すず、風呂沸いたよ!」

ノックをし、ゆっくりドアを開ける夏馬。
鈴蘭は窓の外を見ながら、ボーッとしていた。

「すず」
「………あ、にぃに」

「風呂。
沸いたよ」
「あ、うん」

「どうした?」

「やっぱり、彼を呼べばよかったかなって」

「は?
あいつは、気安く呼ぶな。
俺や天達との約束だろ?」

「でも、もう少しで天くん達が傷つけられるところだった……!
にぃにが来てくれなかったらきっと……」

「━━━━でも、ちゃんと駆けつけた」

「にぃに…」

「俺がいる。
すずがあいつを呼ばなくて良いように、俺が一生守ってやるから!」

「うん。
……………でも、ダメだよにぃに」

「ん?」

「にぃには、にぃにの幸せを考えなきゃ!」

「…………あぁ、そうだな…」
切なく曇る、夏馬の表情。

「にぃに?」
夏馬の雰囲気が変わり、鈴蘭は夏馬の顔を覗き込んだ。

「ん?
この話はおしまい!
すず、風呂に入りな!」
夏馬に頭をポンポンと撫でられ、鈴蘭は頷いて風呂場に向かった。


風呂から上がり、部屋に戻る。
スマホを見ると、天馬から着信とメッセージが入っていた。

【すず、もしかして寝た?】
【おやすみ言わずに寝るなよ。
寂しいじゃん!
明日覚えとけよ!
罰としてキス責めだから!】

「どうしよう。キスは構わないけど……
天くんの声、聞きたい!
…………あ、でも…天くんこそ寝たよね…」

着信だけ入れてみようか。

「あ、でも…それで、起こしたらやだし……」

結局鈴蘭は、メッセージを入れて寝ることにした。

【ごめんね、お風呂に入ってたの。
おやすみ言えなくて、ごめんね(T_T)
また明日ね!】

「よし、私も寝よっと!」
ベッドに上がりごそごそしていると、着信が鳴り響いた。

ガバッと起きて、スマホを取る。
「はっ!?天くん!?
━━━━━もしもし!?天くん!?」

『すず!?
よかったぁー、間に合った!』

「うん。ごめんね、起こしたかな?」

『いや、俺も風呂入ってたんだ!』

「そっか!
良かった!」

『フフ…やっぱ、すずの声聞いて寝たいからな』
「うん!」

『でも、なんか……』
「ん?」

『声聞くと、会いたくなるな』
「え?うん…そうだね」

『………』
「………」

『………』
「……天くん、明日ね…」

『あぁ…
……………すず』
「ん?」

『俺が、すずを守る。
…………だからもう、あいつを呼ぼうなんて考えるなよ?』

「天くん…
…………うん、わかった!ありがとう!」
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