ねえ、私と恋しませんか？

俺の名前は山中光輝（やまなかこうき）。大学を卒業して三年、とある会社の営業部で働いている。そんな俺は今、とある病院の職員用玄関の前で張り込み中だ。

職員用玄関の自動ドアが開き、一人の女が出て来た。黒いジャージにスニーカー、薄い化粧がされた疲れ切った顔にボサボサ頭。いくら美人で仕事では制服を着るといってもこれはないだろ。そう内心思いながら、俺は彼女に声をかける。

「サトミ、迎えに来たよ。一緒にご飯でも食べに行こう！」

彼女ーーー佐藤（さとう）サトミは俺の彼女だ。俺が大学生、サトミが看護学生の時に合コンで知り合い、それからずっと付き合っている。でも、彼氏の俺が迎えに来たというのに、彼女は嫌悪感を隠すことなく露わにしていた。

「何でこんなところで待ち伏せしてんのよ！キモいんだけど！あと、私たちもう関係は終わったから」

そう言い、駐車場に止めてある車のところへ向かおうとするサトミの手を俺は慌てて掴む。

「何で「関係は終わった」とか言うんだよ。俺とお前は付き合ってるだろ？そんなこと言うなよ」