非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
「本当か?!」

 倉田は驚いた様子で駆け寄ると、湊斗の腕を力強くつかんだ。

「あぁ。だから少しでも根拠になるデータを出せれば、あとは話し方で何とかなるだろう」

 湊斗は倉田を安心させるように、小さくうなずくと口元をそっと引き上げる。

「助かった……。じゃあ、俺はすぐに戻って、研究室で準備してるから」

 倉田は矢継ぎ早にそう言い残すと、フロアを飛び出して行った。


 成り行きを見守っていたフロア内には、安堵の声が漏れる。

「社長。では、すぐに車の準備を……」

 倉田と入れ替わるように前に立った牧の肩を、湊斗が軽く静止する。


「待て。牧はウイルス被害の把握の方に回れ。出所までつかめるといいんだが……。とにかく逐一、状況を報告してほしい」

「ですが……」

「俺は一人で大丈夫だ」

 ためらう牧と、それを断る湊斗。


 そばで話を聞いていた一毬は、リビングで置きっぱなしになっていたノートパソコンを思い出すと、居ても立っても居られず一歩前に進み出た。

 それだったら、自分がパソコンを取りに帰ればいい。
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