非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
 そのスクリーンを見上げる形で、ホテルの重そうな長机が30台ほど並べられていた。

 一毬は演題にパソコンを設置すると、祈るように両手を胸の上で合わせる。


 ――湊斗さん、どうか私に力を……。


 スポットライトに照らされた演台から見る景色は、キラキラとまぶしくてまるで光に包まれたようだ。


 一毬は、初めて湊斗に“隣で眠れ”と言われた日のことを思い出していた。

 あの日の湊斗も、このスポットライトのように朝日を浴びて、妙に神々しかったなと思い出す。

 その時ふと一毬の耳に、湊斗の声が響いた気がした。


『俺は気に入ってるけど?』

 あれは休日、湊斗が一日中部屋で仕事をしていた日……。

 湊斗の言葉が聞き取れずに一毬が聞き返すと、湊斗はわざとはぐらかすような顔をしたのだ。


『お前は“ダビデ”に出会えたんだから、儲けもんだろ?』

 一毬は、はっとして息を止めると、水色の画面を覗き込む。

「もしかして……!」

 一毬は演台に置いたパソコンのキーボードに手を乗せる。

 スペルを頭の中で思い出しながら、震える指先で丁寧にキーを押した。
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