非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
「本当に、本当に心配したんですから!」

 一毬は自分でも気持ちの収拾がつかない。

 次第に子供のように泣きじゃくり出す一毬の頭を、湊斗は大切なものにでも触れるように、何度も何度も撫でてくれた。


 しばらくして、ひとしきり泣いた一毬は、はたと顔を上げる。

 それより、このほのぼのとした状況は何なんだ。

 一毬は急にキッと目を吊り上げると、湊斗と牧を交互に睨みつけた。


 牧が慌てて両手を振ると、一毬をなだめる様に口を開く。

「社長はついさっき目を覚ましたんです。まだ安静にしていた方が良いので、佐倉さんが到着するのを待っていたんですよ」

 牧は「ほら点滴もしてるでしょ?」と、湊斗の腕を指さす。

 一毬は、はぁと大きくため息をつくと、ようやくベッドの脇の椅子に腰を下ろした。


「襲われて病院に運ばれたって聞いたから、ものすごく心配で……」

 一毬は小さく声を出すと、膝の上の両手をぎゅっと握る。

「心配させてごめんな」

 湊斗はふっと息を漏らすと、一毬の手に自分の手を重ねた。
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