非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~
確かにユーザー名が“ダビデ”では、そう簡単には開かないだろう。
目線を合わせる一毬と湊斗の横で、倉田はソファに寄り掛かると天井を仰いだ。

「相手は湊斗のマンションまで、把握済みだったってことかぁ」

湊斗がどこに住んでいるかなど、知る人物は限られている。
ただ社内の人間、特に総務部であれば、調べようと思えば簡単にわかるのも事実だが……。

一毬は話を聞きながら、ふと目線を上げる。

――そういえば、あの日……。

一毬の様子に気がついたのか、湊斗が小さく首を傾げるが、それを遮るように倉田が声を出した。

「そういえば牧さん。ウイルスの方は、どうなんですか? 出所はつかめないまま?」
「はい。なんせウイルスをバラまいたであろうファイル自体が消えているので、システム部でも難航しているようです。ただ過去のログは残っているので、事前に不審な動きをしている人物がいないか調べてもらっています」
「あのフォルダは、研究室と総務部以外にはアクセス権限を与えていない。いずれは何かしらわかるだろう」
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