非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
 湊斗は自分の名刺ケースから一枚名刺を取り出すと、司の手のひらにのせる。

「何かあれば連絡してくれ。俺たちが力になれる事もあるだろう」

「はい!」

 すると船が出発するアナウンスが流れ、一毬と湊斗は島の人々にお辞儀をすると、船へと乗り込んだ。

 二人がデッキに出ると同時に、再び大きな汽笛が響き渡る。


「さようなら」

「お元気で」


 二人は港が次第に小さくなり、見えなくなるまでずっと手を振り続けた。

 陸地が見えなくなり、だいぶ時間が経っても、一毬は湊斗と寄り添いながら、青い空と海との境を名残惜しく見つめる。

 この一週間の出来事が次々に浮かんでは消えていった。


「私、本当にここに来てよかったです」

 一毬が見上げると、湊斗は優しく口元を引き上げる。

「また来よう」

「はい」

 すると湊斗が優しく一毬のお腹に触れる。

「次来る時は、三人だ」

「そうですね。三人で来ましょう」


 柔らかな潮風は、抱きしめ合う二人の幸せを、いつまでもいつまでも優しく見守っていた。



おわり
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