非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
 ボーッという船の汽笛が響き渡る。

 一週間の島での滞在を終え、今日は一毬と湊斗が出発する日だ。

 港には見送りに多くの人が集まってくれた。

 宮脇も診療所に“ただいま港で見送り中”の看板を掲げ、出てきてくれたらしい。


「藤堂さん、本当にありがとうございました。納品して頂いた機械は、これから島の人々のために、しっかりと使わせていただきます」

「こちらこそ、よろしくお願いします。何かあれば、すぐにご連絡ください」

 宮脇の固い握手に、湊斗も力強く握り返す。

「奥さんも、元気な赤ちゃんを生んでくださいよ」

 湊斗の隣で、一毬も満面の笑みを返した。


「藤堂さん……」

 すると沖村さんと一緒に後ろで見ていた司が、そろそろと湊斗の前に出てくる。

「僕、しっかり勉強します。じいちゃんも応援してくれるって言ってます。いっぱい勉強して、じいちゃんや、島のみんなを守れる人になります!」

 司の瞳はまっすぐでキラキラと輝いている。

 一毬は湊斗と顔を見合わせると、何度も大きくうなずいた。
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