非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
「どうもお嬢さんの方は、湊斗社長に相当熱を上げてるらしくて。前までは、しょっちゅう会社に会いに来てたんだよね。それで湊斗社長が車で送って行ったりしてさ」
「へ、へぇ……」
一毬は書類を集めるふりをしながら、下を向いたまま声を出す。
「最近みかけなぁと思ってたんだけど……。湊斗社長ってさ、時々花束抱えて出かけるの。デートでもしてるんじゃないかって、もっぱらの噂。だからお嬢さんも、会社にはわざわざ来なくなったんだろうねぇ。ついに湊斗社長も結婚かぁ」
一毬はもう自分が、相槌すら打てなくなっていることに気がついた。
あははと笑いながら楽しそうに噂話をする吉田の声も、耳に入ってこない。
――あぁ。私ってば、なにをそんなに傷ついてるの……? バカみたい。最初から言われてたじゃない。私を愛する余地なんて、湊斗さんにはないって……。
自分はただ隣で眠るだけで、湊斗にとっては気まぐれな暇つぶしの一つなのだ。
そう自分に言い聞かせながらも、一毬の視界はだんだんとぼやけだす。
「へ、へぇ……」
一毬は書類を集めるふりをしながら、下を向いたまま声を出す。
「最近みかけなぁと思ってたんだけど……。湊斗社長ってさ、時々花束抱えて出かけるの。デートでもしてるんじゃないかって、もっぱらの噂。だからお嬢さんも、会社にはわざわざ来なくなったんだろうねぇ。ついに湊斗社長も結婚かぁ」
一毬はもう自分が、相槌すら打てなくなっていることに気がついた。
あははと笑いながら楽しそうに噂話をする吉田の声も、耳に入ってこない。
――あぁ。私ってば、なにをそんなに傷ついてるの……? バカみたい。最初から言われてたじゃない。私を愛する余地なんて、湊斗さんにはないって……。
自分はただ隣で眠るだけで、湊斗にとっては気まぐれな暇つぶしの一つなのだ。
そう自分に言い聞かせながらも、一毬の視界はだんだんとぼやけだす。