非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
倉田はぼんやりと、タクシーの中での湊斗との会話を思い出していた。
菱山への接待の後、湊斗は珍しく倉田に「もう一杯付き合え」と言ってきた。
普段なら湊斗がそんなことを言うことはない。
不思議に思いながら寄ったラウンジバーで、やけにピッチが速い湊斗を見て、倉田は制止するように無理やり湊斗を連れて帰って来たのだ。
湊斗をタクシーに押し込め、倉田はため息をつきながらチラッと隣の様子を伺う。
「湊斗が、そんなになるまで飲むなんて珍しいな。視察で何かあったのかよ」
湊斗は酔いが回ったのか、頭をシートにもたれかけながら目を閉じている。
「視察はいつも通り順調……。どうせ全部言いなりだ」
吐き捨てるような湊斗に、倉田は再びため息をつき、深い沈黙が二人を包んだ。
「ベッドに倒れ込むくらいじゃないと、自制が効かなくなるんだよ」
しばらくして、独り言のような小さな声が、湊斗から聞こえた。
「なにが?」
「抱き枕が、待ってるから」
「抱き枕? 何の話だよ?」
菱山への接待の後、湊斗は珍しく倉田に「もう一杯付き合え」と言ってきた。
普段なら湊斗がそんなことを言うことはない。
不思議に思いながら寄ったラウンジバーで、やけにピッチが速い湊斗を見て、倉田は制止するように無理やり湊斗を連れて帰って来たのだ。
湊斗をタクシーに押し込め、倉田はため息をつきながらチラッと隣の様子を伺う。
「湊斗が、そんなになるまで飲むなんて珍しいな。視察で何かあったのかよ」
湊斗は酔いが回ったのか、頭をシートにもたれかけながら目を閉じている。
「視察はいつも通り順調……。どうせ全部言いなりだ」
吐き捨てるような湊斗に、倉田は再びため息をつき、深い沈黙が二人を包んだ。
「ベッドに倒れ込むくらいじゃないと、自制が効かなくなるんだよ」
しばらくして、独り言のような小さな声が、湊斗から聞こえた。
「なにが?」
「抱き枕が、待ってるから」
「抱き枕? 何の話だよ?」