非・溺愛宣言～なのに今夜も腕の中～【コミカライズ原作】

　研究室の扉をノックして中へ入る。

　室内には白衣を着た社員が、真剣な表情で各々作業をしていた。


　他のフロアとは違い青白い蛍光灯が光る室内は、所狭しと機材や試験資材が並んでいる。

　真ん中の作業台には電子顕微鏡が数台設置されており、ディスプレイには見たこともないような解析画像が映し出されていた。


　一毬が思わずあっけにとられていると、隣の部屋から倉田が顔を覗かせる。

「お、早速来たね。《《抱き枕の一毬ちゃん》》」

　にこやかに手を振る倉田に、研究室にいた社員が何事かと顔を上げた。

　一毬は慌てて倉田に駆け寄ると、背中に視線を感じながら倉田を奥の部屋へと追いやる。


「ちょっと！　その呼び方、やめてください」

　顔を真っ赤にして頬を膨らませる一毬に、倉田はあははと声を上げて笑っている。

　一毬は倉田を睨みつけながら、手に持っていた荷物を押しつけた。

「ごめんごめん。君を見てると、ついからかいたくなっちゃうんだよね」

　倉田は一毬から荷物を受け取りながら、楽しそうに肩を揺らしている。