非・溺愛宣言～なのに今夜も腕の中～【コミカライズ原作】

　しばらくして倉田は、荷物を開ける手を止めると、そっと一毬の顔を覗き込んだ。

「そういや、あれから湊斗の様子はどうだった？」

　倉田の瞳が鋭く光った気がして、一毬はドキッとすると、小さく下を向く。

　今朝は湊斗に声をかけようとして、結局何も聞けなかった。

「いつも通りです……。朝も何事もなかったみたいに、出社して行きましたし……」

　倉田は一毬の言葉に「ふーん」と答えると、また作業を進める手を動かしだす。

　一毬は顔を上げると、たまらずに倉田に詰め寄った。


「あの、湊斗さんっていつも私より先に起きてて。きっと熟睡できてないんです。倉田さんが言っていた、眠りの呪いって何なんですか？」

　一毬の真剣な瞳に、倉田は困ったように頭をかくと、小さくため息をつく。

「ちょっと、こっちにおいで」

　しばらくして倉田は一毬に手招きすると、倉田のデスクと思われるパソコンの前に歩いて行った。

　一毬は戸惑いながらその後ろについていく。