非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~

気がついた感情

数日が過ぎた週末、一毬はリビングでノートパソコンに向かっている湊斗の横顔を、キッチンからそっと眺めていた。
この休日は、部屋にこもって残っている仕事をするらしい。

今日の湊斗は、ゆるめのサマーニットにパンツのラフな服装プラス黒縁のメガネという、女性社員が見たら思わず悲鳴を上げそうなレアなスタイルだ。
こめかみに手を当てながら時折見せる気だるい表情などは、一毬も思わずドキドキとしながら凝視しそうになり、慌てて目線を逸らした。

いよいよプレスリリースとプレス発表会の開催も迫っており、湊斗がリビングでパソコンを開く時間も日に日に長くなっている。
ただでさえ普段から忙しいのに、こんなに仕事詰めじゃ身体を壊さないかと心配になってしまう。


食事は気にしなくていいと言われていたが、一毬はランチにベーグルサンドを作ると、ホットコーヒーとともにトレーに乗せて、湊斗の脇にそっと置いた。
今日は生ハムとクリームチーズのサンドと、サーモンとアボカドのサンドという、ボリューム満点なセットだ。
< 74 / 268 >

この作品をシェア

pagetop