非・溺愛宣言~なのに今夜も腕の中~【コミカライズ原作】
「なんだは、ないでしょうよ。こんな道の真ん中で、花束抱えた男が女の子と言い合いしてたら、誰だって気になっちゃうよね」
倉田は湊斗の手元に顎を向けると、あははと声を出して笑った。
「これは……」
湊斗は花束を下にさげると、言いかけた言葉をのみこむように口をつぐむ。
一毬はうつむいたまま、ジトッと目だけで花束の行方を追った。
しばらくして倉田は「そうそう」と声を出すと、湊斗と一毬の間に割って入り、一毬の顔を覗き込んだ。
「一毬ちゃん、ちょっと研究室においでよ」
「え?」
倉田の言葉に一毬は首をかしげるが、そんなことお構いなしのようで、倉田は先をぐんぐん進んでいく。
「もう午後の仕事に、戻らないといけないんですが」
一毬の言葉は、倉田には届かない。
あきれる湊斗とともに、半ば強引に倉田に連れられ、一毬は研究室の中に入った。
以前も感じたが、研究室は一歩中に入った瞬間、鼻先を独特な消毒薬のような香りがかすめる。
やはり今日も、青白い蛍光灯が無機質な電子機器を照らしていた。
倉田は湊斗の手元に顎を向けると、あははと声を出して笑った。
「これは……」
湊斗は花束を下にさげると、言いかけた言葉をのみこむように口をつぐむ。
一毬はうつむいたまま、ジトッと目だけで花束の行方を追った。
しばらくして倉田は「そうそう」と声を出すと、湊斗と一毬の間に割って入り、一毬の顔を覗き込んだ。
「一毬ちゃん、ちょっと研究室においでよ」
「え?」
倉田の言葉に一毬は首をかしげるが、そんなことお構いなしのようで、倉田は先をぐんぐん進んでいく。
「もう午後の仕事に、戻らないといけないんですが」
一毬の言葉は、倉田には届かない。
あきれる湊斗とともに、半ば強引に倉田に連れられ、一毬は研究室の中に入った。
以前も感じたが、研究室は一歩中に入った瞬間、鼻先を独特な消毒薬のような香りがかすめる。
やはり今日も、青白い蛍光灯が無機質な電子機器を照らしていた。