スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
「あの……。なんでしょうか?」
他の社員がいなくなると、光莉はおずおずと尋ねた。
「君宛に招待状が届いている」
「招待状?」
高級感のある箔押しのベージュ色の封筒が渡される。
「ありがたいことに安西ご夫婦は君のことが大層気に入ったらしい。ご自身の結婚三十周年パーティに君を招待したいと仰せだ」
「え……?」
「サンライズホテルグループとは今後とも良好な関係を築いておきたい。都合がつくならぜひ出席してもらいたい」
「それは構いませんが……」
「ドレスコードもある。思い切り着飾るといい」
「着飾ると言われましても……」
光莉の私服は会社に着ていくオフィスカジュアルを除けばジーンズやパーカーなどラフな服装ばかりだ。
畏まった服など斗真の結婚式の二次会で着用したワンピースしかない。
あれだって、セールで八千円で買ったものだ。
セレブばかりが集まるパーティーでは見劣りしてしまうだろう。
「立場が逆転したな。今度は私が君に手ほどきしよう」
手ほどきという単語にドキリとする。光莉の身体は瀧澤に一晩かけて官能を教え込まれたことをまだ忘れていない。
「明日の夜は空いているか?」
「はい、空いてます」
「では、七時に待ち合わせしよう」
二人は翌日の仕事帰りに高級ブティックが建ち並ぶ商業エリアで待ち合わせすることになった。