スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~
光莉がトイレから戻り再びバンケットルームにやって来ると、ボスンと何かが足元に飛び込んでくる。
「お姉ちゃ〜ん!」
「寧々ちゃん!」
光莉の脚にくるりと巻きついてきたのは、安西夫婦の孫娘、寧々だった。
「今日のお姉ちゃんとっても綺麗!お姫様みたい!」
「ありがとう。寧々ちゃんも林檎のヘアゴム、とっても似合ってるよ」
可愛らしくセットされたふたつ結びを褒めると、寧々はエヘヘと嬉しそうに笑った。
「寧々、あんまり走り回るなよ」
「せえちゃん、抱っこして!」
「はいはい。しょうがないな、うちのお姫様は」
寧々の背後から現れた男性を見て、光莉は本気で驚いた。
「安西征也選手……!?」
「せえちゃんだよ!寧々のおじさん!」
征也に抱っこされた寧々は、自慢げにえっへんと胸を張った。
寧々の言う通り、透けるような茶髪、爽やかな笑み、綺麗に生えそろった真っ白な歯は、日本テニス界にその名を轟かす名プレイヤーそのものだった。
寧々の叔父ということは、征也は安西夫婦の息子ということになる。言われてみれば目元がそっくりだし、同じ苗字だ。
安西のテニス好きも征也に起因するものだとしたら納得がいく。
「こら、寧々。知らない人にいきなり抱きついたらダメだろ」
「知らない人じゃないよ!一緒に机を選んでくれたもん!」
「ああ。もしかして、親父たちと対戦したっていうTAKIZAWAの……?」
……しかも、安西夫婦とテニスで対戦したことまで知られている。
「はい!出水光莉と申します。姪御さんの学習机も弊社でご購入頂きました」
「ふ~ん……」
深々とお辞儀をした光莉を征也はまじまじと見下ろした。
なぜだろう。あんまり嬉しくない類の見られ方で身体が強張る。