スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「出水さん、ここにいたのか」

 光莉は後ろを振り返り、ひっそり安堵した。
 いつまで経っても戻ってこないことを心配した瀧澤が、光莉を探し当ててくれて助かった。
 
「すみません、瀧澤専務。安西さんと少しお話を……」
「征也って呼んでよ。親父たちと区別つかないし。俺も光莉ちゃんって呼びたいからさ」
「は、はあ……」

 初対面なのに急に距離を詰められて、光莉はすっかり困ってしまった。元々、そういう距離感の人なのか、いまいち判断に困る。

「寧々~征也~!」
「あ、親父たちに呼ばれちゃった。じゃあね、光莉ちゃん」
 
 征也は光莉にウインクすると、寧々を抱っこしたまま安西夫婦の元に歩いていった。
 
「……帰国していたんだな」

 征也達が見えなくなると、瀧澤は小さくため息をついた。
 
「ご存知だったんですか?」
「取引相手のリサーチは基本だ。米国を拠点にしているという話だったはずだが……」

 よからぬ気配を感じたのか、瀧澤の表情が曇っていく。

「……何もされなかったか?」
「え?」
「彼は女癖が良くないという噂だ」

 何を心配されているのか察して、光莉は慌てて首を振った。いくらなんでも出会って数秒で口説かれることはない。
 
「いいえ、大丈夫です!寧々ちゃんもいましたし……」

 弁解を聞き終えると、瀧澤は光莉の腰を引き寄せた。

「私から離れるなと言ったはずだが?」
「……すみません」

 パーティーはその後も続き、お開きになったのは二時間後のことだった。

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