スパダリ御曹司のお相手が、私でいいのでしょうか?~一晩だけのはずが溺愛が終わりません~

「それで、相談ってなんだ?」
「……好きな女性がいるんだ」
「ぶっ!」
「ちょっと、明音!汚い!」

 台所に立っていた麻里は行儀悪くビールを吹き出した夫に布巾をペシンと投げてよこした。

「ごめん、麻里……。タキが予想外なことを言うから驚いて……!」

 久志としてはそんなに驚かれるようなことを言ったつもりは毛頭なかった。

「好きな女性って……もしかして出水さん?」
「ああ」
「意外だな。タキは知的な美人系の女性とばかり付き合ってきただろう?出水さんってどちらかといえば元気で可愛い人だったよな?そういうタイプは苦手かと思ってたけど……」
「彼女は別だ」

 そう言うと明音はははーんとすべてを理解したようなドヤ顔で頷いた。

「それで、好きだってちゃんと伝えたのか?」
「恋人になって欲しいと一度は言おうとしたんだが……逃げられた」

 上海新ホテルのプロジェクトが始まったこともあり、その後も何度か機会を逸して今に至っている。

「あとから気づいたんだが……。相手はそんなつもり一切なかったのに、いきなり交際を迫ったりしたら気まずくならないだろうか?」

 恋愛関係を望んでいるのは久志だけで、光莉から身体の関係だけでいいと言われてしまったら目も当てられない。
 始まりが始まりだけにその可能性はゼロではない。

「気まずくなるか、ならないか。そんなの元々の関係性によるだろ。大事なのはタキがどうしたいか、だろ?」

 明音から改めて問いかけられたとて、久志の心はとうの昔に決まっている。

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