一晩だけのつもりだったのに、スパダリ専務の甘い手ほどきが終わりません……なぜ?
エピローグ

 光莉がシンガポールに転勤してから、一年半の月日が流れた。
 その間に色々なことがあった。
 光莉より先に帰国した遊佐が結婚した。なんと相手は柳瀬だ。長年ただの同期という間柄だったが遊佐の執念が実り、めでたい結果となった。
 露希はその後も女優業を続け、今やハリウッド女優となった。全世界で配信される配信サービスのドラマにも出演が決定し、人気は衰え知らず。
 光莉はというと……シンガポールから日本行きの飛行機に搭乗していた。

(五時間後には日本かあ……)

 シンガポールへの派遣が終わり、本日無事に帰国日を迎えることができた。
 一年半のシンガポール生活は本当に色々なことがあった。
 自分ではタフだし、コミュニケーション力もある方だと思っていたが、異国でひとりきりとなると話がまったく変わってしまった。
 ホームにシックになりかけたり、食べ物が合わなくて胃痛を患ったり、同僚の現地人と大喧嘩したりと……。
 だからこそ、瀧澤が忙しい時間を縫って会いにきてくれた時は、嬉しくて飛び上がりそうだった。
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