出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
「にしても……。やっぱりあの人、諦めてなかったわね」
翌週月曜日の昼どき。いつものように社長室の応接ソファで向かい合い、実乃莉と深雪は弁当を広げていた。
龍がコンビニへ行き、ここにいないのをいいことに、深雪は散々愚痴を吐き出し始めた。
「実乃莉ちゃん。仕事邪魔されなかった? アポ無しでくること自体大迷惑だけど」
「はい。大丈夫です」
箸を持つ手を止めると実乃莉は答える。同じように手を止めると、深雪はため息を吐きながら持っていた弁当箱を膝に乗せた。
「あの人、裏表が激しいのよね。龍がいなかったらマウント取る取る。どれだけ嫌味言われたか。甘やかされて育ったお嬢様ってほんと面倒!」
その顔の顰める様子から、どれだけ言われてきたか察してしまう。だが深雪はそうへこたれてはいなさそうだ。
実乃莉は話を聞きながら、ゆっくりとご飯を口に運んだ。
「瞳子さんって、大手電機機器メーカーの創業者一族の娘なのよ。龍とは家の関係で出席したパーティで知り合ったんだけどね。どうも政治家との繋がりが欲しかったみたい。向こうから猛アタックされて付き合いだしたのに、あっさり引き下がるなんておかしいと思ってたの!」
怒り気味の深雪は弁当箱を持ち上げ、ミニトマトを箸で突き刺すと口に運んだ。
実乃莉はあの、堂々とした瞳子の姿を思い出し納得していた。
(自分に自信があるのって、凄い……かも)
実乃莉には自分に自信が持てるところなど一つも思い当たらない。いつも人の陰に隠れてオドオドしてしまうのが自分だ。あのくらい自分に自信があれば龍とつり合うのだろうか。そんなことを考えてしまう自分に嫌になってしまう。
「とにかく、もう来るなって追い返したらしいし、来ないとは思うけど……。付き纏わないことを祈るだけね」
糸井が知っていることは深雪はもちろん知っているのだろう。どこかうんざりした様子で深雪は言った。
しばらくすると、ガチャリ、と扉が開く。コンビニのレジ袋を下げた龍が入ってくると、当たり前のように空いていた実乃莉の横に座った。
翌週月曜日の昼どき。いつものように社長室の応接ソファで向かい合い、実乃莉と深雪は弁当を広げていた。
龍がコンビニへ行き、ここにいないのをいいことに、深雪は散々愚痴を吐き出し始めた。
「実乃莉ちゃん。仕事邪魔されなかった? アポ無しでくること自体大迷惑だけど」
「はい。大丈夫です」
箸を持つ手を止めると実乃莉は答える。同じように手を止めると、深雪はため息を吐きながら持っていた弁当箱を膝に乗せた。
「あの人、裏表が激しいのよね。龍がいなかったらマウント取る取る。どれだけ嫌味言われたか。甘やかされて育ったお嬢様ってほんと面倒!」
その顔の顰める様子から、どれだけ言われてきたか察してしまう。だが深雪はそうへこたれてはいなさそうだ。
実乃莉は話を聞きながら、ゆっくりとご飯を口に運んだ。
「瞳子さんって、大手電機機器メーカーの創業者一族の娘なのよ。龍とは家の関係で出席したパーティで知り合ったんだけどね。どうも政治家との繋がりが欲しかったみたい。向こうから猛アタックされて付き合いだしたのに、あっさり引き下がるなんておかしいと思ってたの!」
怒り気味の深雪は弁当箱を持ち上げ、ミニトマトを箸で突き刺すと口に運んだ。
実乃莉はあの、堂々とした瞳子の姿を思い出し納得していた。
(自分に自信があるのって、凄い……かも)
実乃莉には自分に自信が持てるところなど一つも思い当たらない。いつも人の陰に隠れてオドオドしてしまうのが自分だ。あのくらい自分に自信があれば龍とつり合うのだろうか。そんなことを考えてしまう自分に嫌になってしまう。
「とにかく、もう来るなって追い返したらしいし、来ないとは思うけど……。付き纏わないことを祈るだけね」
糸井が知っていることは深雪はもちろん知っているのだろう。どこかうんざりした様子で深雪は言った。
しばらくすると、ガチャリ、と扉が開く。コンビニのレジ袋を下げた龍が入ってくると、当たり前のように空いていた実乃莉の横に座った。