愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(好みの花とはいえ、このレベルのものを贈ったら、好感度が下がりそうだけど……)

 しかしそれ以上に、ペリウィンクルには気になることがあった。
 リコリスの箱庭にある花は、いつ枯れてもおかしくない状態だ。
 満足に水やりもされていない。雑草もポツポツと生えているし、明らかに手を抜かれている。

「毎日の水やりは、義務でしょうに」

 逆ハーレムだかなんだか知らないが、男を追いかけるより前に、箱庭を整えるべきだ。
 ここは、結婚相手を見繕う場所ではないのだから。

「男を追いかけるので忙しいなら、対価を払って妖精たちに頼めば良いのに」

 対価を払えば、水やりや草取りをしてくれる妖精がいる。
 お金だったりお菓子だったりミルクだったりと対価はさまざまだが、ケチらなければ十分働いてくれるのだ。

「それさえもしないなんて……ヒロインはやる気あるの?」
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