愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!

第3話 庭師の知識

 社交界で、小さな噂が流れている。
 デュパンセ公爵家の娘を助けた少女が、公爵家の庭師として雇われた、と。

 まるで、濁流に飲まれた令嬢を颯爽と助け出したヒーローのような言われようだったが、そこまでの一大事ではない。
 あの場にいる誰もがローズマリーを助けられたはずなのにそれをしなかったのは、意地悪な彼女を疎ましく思っていたから。ちょっとくらい意地悪してやろうと、そんな気持ちだったに違いない。

(まぁ今は、前世を思い出して悔い改めたみたいだし。そのうち、メイドたちも気づくはず)

 公爵家の庭師として雇われたペリウィンクルは、ローズマリーの専属庭師になった。
 妖精が立ち寄りたくなる庭──それを造るために、ヴィヴァルディでは庭師が重宝されている。

 妖精と契約するためにはまず、妖精と出会わなくては始まらない。
 その第一歩となるのが、妖精が立ち寄りたくなる庭、というわけだ。

 さて、ではどんな庭が妖精たちに気に入られるのか。
 一般的には、自然美を生かした田舎風の庭は植物系の妖精、幾何学的な庭は食べ物系の妖精、石を多用した庭は宝石や道具系の妖精が気にいる傾向にあるとされている。
< 16 / 322 >

この作品をシェア

pagetop