愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 だからトゥルシーは、ちっとも気付かなかった。
 学校内に花泥棒が現れたという噂が流れた時も、他人事のように思っていた。
 シナモンが花泥棒を探しているという話を聞いた時も、そのうち見つかるだろうと思っていた。

 親友だからと秘密を告白してくれた彼女に、トゥルシーは報いなければならないと思った。
 今、リコリスが動くことは危険だ。なぜなら、一番疑われているのがリコリスだから。

 でも、トゥルシーなら?
 リコリスが見張られている間に、花泥棒が現れたら?
 だけど、そんな大それたことができる?

 悩んだのは、一瞬だった。
 トゥルシーは、決めた。リコリスの代わりに、花泥棒をすると。
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