愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 この夢を嫌だと思えるようになったのは、いつからだっただろう。
 見るたびに「ごめんなさい」と叫びながら飛び起きるペリウィンクルを何も言わずに抱きしめてくれたのは、ヴィアベルだった。

 ふと、ペリウィンクルは隣を見る。
 人化したヴィアベルが、むにゃむにゃと無防備に寝ていた。
 壁とペリウィンクルの間に器用に体をねじ込んで眠る姿は、猫のように見えなくもない。

「……いつ来たのかしら」

 呆れ混じりに言いながら、ペリウィンクルの顔に自然と笑みが浮かぶ。
 いてくれて、嬉しい。
 どんな時も、彼が隣に居てくれたら安心できる。

 これはたぶん、あれだ。刷り込みというやつだ。
 怖いと思う時はヴィアベルが必ずそばにいてくれるから、安心するようになってしまっただけ。それだけに過ぎないのだと、ペリウィンクルは言い聞かせるように心の内で呟いた。
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