愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
(ああ、でも……)

 ローズマリーが、婚約破棄されるまで手を貸す。
 そう決めた以上、中央の国へ行かなくてはならないだろう。
 
(中央の国へ行ったら、ヴィアベルは喜んでくれそう)

 目が届く範囲にペリウィンクルがいないと、心配でたまらない過保護な妖精だ。
 一年という制約付きではあるけれど、それで少しは安心してくれるだろうか。

(ずっとはいられないけれど、一年なら。一緒にいてもいいかもしれない)

 これは、良い機会のように思えた。
 ペリウィンクルが親離れするための、ヴィアベルが子離れするための機会。
 それはつまり、ヴィアベルとの別れを意味する。
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