愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 ちなみに、三対の目とは、上からサントリナ、セリ、ローズマリーである。
 彼女たちはトーテムポールのように頭を縦一列に並べて、ペリウィンクルを見ていた。

「卑怯者とは聞き捨てならないね?」

「でも、ペリウィンクルさんですよ? 卑怯なことなんてするのでしょうか」

「あら。わたくしがリコリス様にしたアレコレは、彼女の提案でしてよ?」

 三人に見られているとも知らず、枕を抱きかかえてベッドの上でうつぶせになったペリウィンクルは、涙声で「ヴィアベル」と三人が知らない名前を連呼している。
 時折ズズズと鼻をすすっては、メソメソ泣きながら鼻をかむ。丸めた紙はゴミ箱に届かず、床に転がっていった。それがなんとも、物悲しい。

「ヴィアベルって誰なのかしら」

「ローズマリー様も知らないのですか?」

「ええ、知らないわ。でも、それにしたって切ない声で呼ぶのね。あんなペリ、初めて見た」

「そうなのかい? あの様子から察するに、失恋だろうか」
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