愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
「まだ、ですの……?」

 声をかけられて、ペリウィンクルははっと我に返った。
 今はそんなことを決意している場合ではなかったのだ。

 目の前では、出荷直前の丸々としたブタから子ブタになったローズマリーが、汗だくになりながら屋敷の敷地内を走っている。
 ペリウィンクルはそんな彼女の後ろを走りながら、「ピッピッ」とホイッスルを吹く係をしているところだ。

「お嬢様! あと三周したら朝ご飯ですからね!」

「ま、まだ走りますの⁉︎」

「入学まで数ヵ月しかありませんからね! 少々手荒ですが、スローライフのためだと思って辛抱してくださいませ」

「わ、わかりましたわぁ!」
< 28 / 322 >

この作品をシェア

pagetop