愛され庭師は悪役令嬢に巻き込まれ……いえ、今世こそ幸せにしてあげたいです!
 そのシナモンも、ローズマリーが言うには、様子がおかしいらしい。
 今まで大事に守ってきた幼馴染みを切り捨ててまでリコリスを選んだ彼は、さぞ愛に満ちた日々を送っているのだろうと思いきや。愛らしかった顔にくっきりと濃い隈を浮かべて、目に見えて憔悴しているのだとか。

 ローズマリーの背に隠れてしまうセリは気付いていないようだが、どうやらシナモンは彼女へ接触しようと試みているようだ。
 今更になって後悔しているのか、それとも他に理由があるのか。どちらにせよ油断ならないとローズマリーが怒っていたのは、つい先日のことである。

「でも、お嬢様はセリ様の初恋を応援すると決めたのでしょう? それならどうして、二人が接触できないようにするのですか?」

 セリとシナモンをくっつけると息巻いていたローズマリーだが、なぜか彼女は二人を裂くような真似をしている。
 シナモンが接触しようとしているなら、さっさとセリを差し出せば良いのに。
 どうしてだと聞いたペリウィンクルに、ローズマリーは言った。
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