聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
バレンタイン当日。
菜々は神崎と一緒に、モリセンと部員にチョコをプレゼントした。
「やった!これでチョコをもらえたという実績が…!!」
義理チョコでも大喜びの部員達を見て、神崎と一緒に顔を見合わせて笑い合った。
「橋本、ちょっときて。」
後ろから、こっそり福井に声をかけられた。
何かと思いながら、福井について部室の外に出る。
廊下にはちょうど誰もいなかった。
福井の雰囲気から、菜々はなんとく嫌な予感を感じ取った。
が、黙って福井を見つめ、福井が話し始めるのを待った。
ほんの数秒が、とても長く感じられる程、緊張感が漂っていた。
「あのっ、チョコありがとうな。めっちゃ美味かったよ。」
「そっか。喜んでもらえたなら、作ってよかったよ。」
菜々は、少し笑ってみせた。
途端に福井が耳を赤らめ、そのまま話し出す。
「あのさっ、俺、前から橋本のこと、いいなぁって思ってて…だからその…本命チョコとか、もらえたら嬉しいなっていうか…つまり…」
そう言うと、意を決したように菜々を見つめて言った。