聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!
「もう…先輩にまんまと騙されました…。」
そう言った菜々を見下ろしながら、矢嶋はあははっと嬉しそうに笑った。
「ごめんごめん。でも、そのおかげで橋本ちゃんの気持ち聞けたし?結果オーライだな。…で」
よっと、と言うと、矢嶋は菜々を横抱きにして近くのベンチまで歩いていった。
「せせせせせせんぱい!?」
いきなりのお姫様抱っこ状態に慌てる菜々を、矢嶋は余裕の表情で見下ろす。
「大丈夫。誰も見てないから。」
「そ、そう言う問題じゃ…」
そう言った菜々をベンチに座らせると、矢嶋は菜々の前にひざまずき、正面から目線を合わせた。
「橋本ちゃん、改めて言うよ。…君が好きだ。俺の彼女になってください。」
「よろこんで!私も…矢嶋先輩のことが好きです。」
そう言って、菜々はそのまま矢嶋の首に手を回した。
「やべ…幸せすぎ。」
そう言うと、矢嶋も菜々の腰に手を回して、ぎゅっと抱きしめた。
「大事にするよ、橋本ちゃんのこと。もう絶対離さないからね。」
「うん。…ずっと離さないで。」
そのまましばらく、2人は抱き合っていた。