麻衣ロード、そのイカレた軌跡⑦/危険色の進路決す!
絶叫、そして契り/その3
麻衣



ついに”今日”を迎えたわ

正直、怖いよ

いくらイカレものの私だってさ

でも、決して変更はない

思い描く通りに持っていく

勿論、相手がどう出るかはあちら次第だよ

結果はいいんだ

私は心の奥底の私自身の思いによって、今日をやり遂げる

それだけさ…


...


”ピンポーン…”

いつもは軽快なトーンのチャイム音もやや重苦しいかな…

「やあ、久美、それに静美…」

「麻衣…、迎えに来たよ」

「麻衣さん…」

あれ?

今日は泣き虫の久美じゃなくて、静美の方が目を潤ませているよ

「三田村さんは車の中だよ。すぐ下に停まってるけど…」

「ああ、もう出られるからさ…。さっそく行こう」

夕方3時…

私は部屋の鍵を閉め、心も引き締めた


...


「麻衣!…助手席でいいかい?」

「ええ…。じゃあ失礼します…」

私は”戦場”への送迎車に乗り込んだ

「…先輩、本日はひとつ、よろしくお願いいたします」

「はいよ」

アンコウ先輩はいつも通りだった

「アンタ達も悪いね、付合わせちゃって…」

「麻衣…」

「麻衣さん…」

久美と静美…

ぶっ飛んだ私のことを、誰よりも慕ってくれてるこの二人には、是非見届けてもらわなくちゃ

”あんな行為”に及んだ私が、いかに”示し”を着けるのかを…

それは無様な姿を晒すことになるかもしれない

でも、しっかり目に焼き付けてくれ、二人とも…


...


車の中では皆、無言だった

さすがのアンコウもここに来て、余分な言葉は不要と捉えたかな

それとも、私の気を散らさないようにとの配慮からか…

安全運転で走ること約25分…

到着したわ…


...


「…じゃあ、行ってきますんで。とにかく、ここから先には来ないで、ここで待っててくださいよ。いいですね?」

「了解したよ。二人にもここで待機させる。麻衣、しっかりな」

先輩…

ドア側の久美は神妙な顔つきで手を振ってる

静美は両手で目をあてがって、涙を押さえてるようだ

よし、行くぞ!

私は白いサニーのエンジン音を背にして、重い一歩を踏み出した





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