推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
ファンの間ではK様と呼ばれているのがわかるコメントがスマホの画面に並んでいる。

穂香もそこにコメントを打ち込んだ。


コメント【K様ーっ!!ほのかちゃん。大好きって言って~っ!!】


嬉しそうにコメントを打ち込む穂香。

コメントの大半はこのように、名前を呼んでほしい的な内容。
コメントは凄いスピードで流れていき、読んでもらえる事はほとんどない。


穂香「何度も送ったのに……今日もコメントも読んでもらえなかった……」


投げ銭をしている者は名前を呼んでもらえたり、それが高額になると「○○ちゃん。ありがとう」から「○○ちゃん。いつもありがとう」とK様から名前を覚えてもらえることもある。


穂香「私も名前を呼んでもらったり、覚えてもらいたいな……」


リア充とはほど遠い穂香の密かな楽しみは、歌い手を応援すること。

そんな穂香が呟いた。


穂香「K様ってイケボだし、きっと優しくてカッコ良いんだろうなぁ……」


穂香は窓を開けて、夜空を眺める。


穂香「流れ星に願いを込めて。かぁ……K様に会いたいっ!!なんちゃって~」


その瞬間、流れ星が流れた。


穂香「あっ……K様に会い……消えちゃった」


手を合わせて願い事をしようにも、流れ星なんて一瞬で消えてしまう。
残念そうに穂香は、夜空を見つめたまま、グッと両手を上げて伸びをする。


穂香「んーーーっ!!明日から新しい高校生活。頑張るぞーっ!!」




(入学式前夜の穂香の部屋。終了)







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