推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
○春の遠足。帰りの駅


正午を迎えたばかりの山の麓の駅は、人があまりいない。

そんな駅のホームに二人で座っていた。

穂香が山の頂上辺りを見ながら呟く。


穂香「今頃、みんな山の上から綺麗な景色見てお弁当を食べてるんだろうなぁ……」


航太も山頂を見ながら、小さく呟いた。


航太「はぁ……まだ思い出が足りないかぁ……」


穂香は航太の言葉にハッと気付いてフォローする。


穂香「そういう意味じゃないよ?航太くんが作ってくれた思い出も、凄く、すーっごく良かったよ?」


穂香が航太の方に慌てて顔を向けた時、リュックにぶら下がっているK様のぬいぐるみが、穂香の左手に当たる。


少し濡れた感触があり、見てみるとK様のぬいぐるみもドロドロになっていた。


穂香「あぁーーーーっ!!K様がドロドロになってるんだがーーーっ!!」


慌ててK様のぬいぐるみを見て、涙を浮かべる穂香。

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