推しの歌い手さま~想像してたのと違うんだが…~
穂香は何を言われているのか?一瞬意味がわからず固まってしまう。


穂香「やっぱり……航太くんがK様……?最後のデート……?」


うわ言のように呟きながら頭の中を整理しようとするが、全く追い付かない。


リュウ「もしかして何も知らされてないの?」


穂香「知らされてないって……?はい。何も知らないです……」


リュウが慌ててスマホで時間を見る。


リュウ「あと1時間あるか?ここから間に合うのかな……?」


穂香は意味がわからず、オドオドした様子のまま。


穂香「あと1時間で何があるんですか?間に合うって何がですか?」


リュウが慌てて立ち上がると、穂香に行った。


リュウ「アイツ今日の夜、アメリカに旅立つんだよっ!!秋からアメリカの高校に入学するって。行くよっ!!」


アメリカの高校の入学時期は9月頃。
穂香と同じ高校に通い始めて少し過ぎた頃には、航太の転入が決まっていたのだ。


頭が真っ白になり動揺を隠せない穂香は、慌てて鞄を持って席を立つ。


リュウがレジの前に2000円置いて、女性スタッフに言う。


リュウ「お釣りいりません。ごちそうさまでした」


ほとんど口をつけていない飲み物を置いて、慌てて店から出ていく姿。

大型のスポーツタイプのバイクで、ヘルメットを2つ持っているリュウを見た穂香はふと呟いた。


穂香「なんかドラマでも見てるみたい……」


(○初デートの次の日の夕方。
駅前のオシャレなカフェ。終了)






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