推しの歌い手さま～想像してたのと違うんだが…～

第12章～一人の夏休み～

○航太が旅立って1週間後の夜。穂花の部屋。


今日はＫ様のライブ配信の日。日本を旅立ってから初めてとなる。
それを楽しみにしている穂花は、寝る準備を終えて早々とベッドに寝転がってスタンバイしていた。


穂花「こうして配信を待ってると、今でも航太くんとＫ様が同一人物だと思えないんだが……」


ファンに向けた明るいキャラのＫ様と、眠そうで時々頼りになる航太のギャップは、今でも信じがたいもの。


穂花「あっ!!配信が始まるっ!!」


スマホの画面にはこれまでのアニメのキャラの画像ではなく、素顔で配信を始めた。


Ｋ様「good morning everyone(皆さん、おはようございます)」


突然の顔出しと英語の挨拶に、視聴者がついていけずにコメントが荒れる。


○は？誰？
○どちら様w
○美少年w
○なんで英語なの？
○夜なのにぐっもーにん？？
○今は夜だよ～



ものすごいスピードで、戸惑う視聴者のコメントが流れていく。


戸惑う何千人の視聴者の中で、一喜一憂しているのは穂花くらいだろう。


穂花「航太くんだ。なんか嬉しいような……寂しいような……しばらく会えないんだもんね……」


心に穴が空いたように胸が苦しくて、自然と涙が頬を伝う。


涙でよく見えないスマホから、航太がこれからアメリカで音楽の勉強をすること。
素顔を出して音楽活動をしていくこと。
フリーランスの集団の音楽の事務所から、芸能事務所に移籍して、今後はCDの展開やコンサートなども行うアーティストとして
活動することが発表された。