甘い罠、秘密にキス

それから私達は、どちらともなく激しく求め合った。


「あ、ああっ、だめ、…またっ……」


立て続けに襲ってくる大きな波に、何度も全身を震わせた。シーツに爪を立てながら快感に耐えようとするも、激しく繰り返される律動に息が出来なくなり、目がチカチカした。

肌がぶつかりあう音や卑猥な水音に羞恥を覚え、同時に襲ってくる快感に甘い声が漏れる。時折囁かれる甘い言葉に、心も身体も刺激されて、より桜佑を締め付けた。


「…伊織っ、……」


桜佑が顔をゆがめているのを見ると、ぞくぞくと身体が痺れた。
段々と激しさは増すのに丁寧で、桜佑の優しさを感じる度に心も身体も満たされた。


「…あっ、ん、お、すけ……もうっ…」


より激しさを増した律動で奥を容赦なく刺激され、体を弓なりに反らせながら脚をビクビクと震わせる。

その直後、同時に果てた桜佑が覆いかぶさるように私を抱き締めた。


「伊織」


名前を呼ばれ、閉じていた目を薄らと開ける。優しく目を細める桜佑と視線が重なると、急に“桜祐とした”という実感が湧いてきて、顔がカァっと熱くなった。


「…桜佑、私……」


──最後まで出来た。それが無性に嬉しくて、目頭が熱くなるのを感じた。


「体、大丈夫か?」

「うん…少し疲れたけど」


困ったように笑うと、桜佑は私の髪を撫でながら「悪い、もっと優しくするつもりだったけど無理だった」と眉を下げた。


「大丈夫、私体力には自信あるから」


布団のシーツに身体を預け、少しうとうとしつつもへらりと笑う。すると桜佑がなぜかニヤリと口角を上げるから、思わず息を呑んだ。


「だったら、もう1回しよ」

「…………え、」


唐突に放たれた言葉に目を見張った。理解が追い付く前に唇を塞がれ、抵抗する間もなく桜佑の手が膨らみに触れた。


「ちょ、え、桜佑…ぁっ、」


さすがにもう無理だと思っていたのに、刺激されると再び身体が熱を取り戻す。まだ先程の余韻が残っているせいか、むしろさっきより敏感に反応してしまい、あっという間に頭が真っ白になった。







何度も絶頂に達し、意識が朦朧とする中で思ったのは、相手が桜佑で良かったということ。

けれどそれを伝える前に限界を迎えた私は、気を失うように意識を手放した。

< 101 / 309 >

この作品をシェア

pagetop