【コミカライズ配信】婚約破棄されたらエリート御曹司の義弟に娶られました。
顔が隠れて見えないけど、グスッという鼻をすする音が聞こえてる。
もしかして、泣いてるのか……?
「妃乃……迷惑か?」
重いのは百も承知だし、ずっと弟だと思ってた奴に言われて困らせてることもわかってる。
迷惑だって思われてるかもしれない。
それでもこの恋を抑えることは、もうできない。
どうしても妃乃が好きで、諦められないんだ。
「……ちがうの」
ふるふると顔を横に振り、声は震えている。
「うれしくて……っ」
「……っ、妃乃、顔見せて」
「……。」
「見る」
「や……っ!」
無理矢理布団を剥いでみたら、熟れたりんごみたいな顔をして瞳に涙を溜める愛らしい妃乃がいた。
「……そんな顔するってことはさぁ」
ギシ…とベッドの上に踏み入れる。
「都合のいいように考えていいってことだよな?」
「〜〜……っっ」
更に覆い被さるように組み敷いて、逃げ場をなくす。
引き金を引いたのは妃乃だから。
熱で浮かされていても、それでいい。
むしろ利用させてもらう。
ずるくても構わない、もうなりふり構わないって決めたから。
つけ入る隙があるなら、いくらでもつけ入らせてもらう。
妃乃を手に入れるためなら。
「……」
妃乃の顎をくいっと持ち上げた。
何をされるのか察知した妃乃は、およそ無意味な抵抗をする。