紳士な俺様社長と離婚前提の契約婚!?
あの夜の続きを

『俺が何もかも忘れさせてやる』という言葉通り、再間された奏との二度目のキスは優しくも熱烈なものだった。

 はじめは緊張感で強張っていた穂乃香の心と身体をほわりと解きほぐすように、とびきり優しく。

 穂乃香の身も心も蕩けた頃には、甘いキスは深まりどんどん濃厚なものへと移り変わっていった。

 それに伴い、穂乃香を熱いキスで翻弄する奏の興奮度を示すように、穏やかだった息遣いも荒々しいものへと変化していく。

 穂乃香の控えめな舌を奏の熱くざらついた舌が逃がさないとばかりに搦め捕り、甘噛みするように歯を穿ちつつ、ちゅちゅっ、と何度も何度も吸引する。

 口腔内にはどちらのものかも判別できない、とろりとした甘い蜜のような唾液で溢れかえっている。

「はぁ……ふっ、んぅ」

 奏が口づけの角度を変えるたび、穂乃香のあえかな喘ぎと艶めかしい吐息と水音とが零れ落ちてゆく。

 一度目は、穂乃香が奏を受け入れたことへの驚きと、穂乃香の反応を窺っていたいたせいもあったのかもしれないが、二度目のキスはまったくと言っていいほど違っていた。

 奏の申告にもあったように、穂乃香に欲情するあまり、身体を熱く滾らせるほど興奮しているせいでもあるのかもしれない。

 何より奏が元婚約者への嫉妬心を滾らせているからなのだと思うと、穂乃香の気持ちも自ずと昂ぶってゆく。

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