フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜

「呼び方一つで仕事に支障が出るなんて、秘書失格ですね。秘書として認めていただけに残念でなりません」

 悲痛な顔で嘆き悲しむように、秘書として否定されてしまっては、黙ってなどいられるはずもなく……。

「わかりました。今後は、柳本さんの仰るとおり〝竹野内穂乃香〟として業務に当たらせていただきます」

 カッとなってしまった穂乃香は、毎度のことながら、まんまと柳本の思惑通りの言葉を返してしまっていた。

 そんなわけで、周囲から〝竹野内さん〟と呼ばれるようになったのだが、呼ばれるたびに、胸の奥が甘く疼いてくすぐったく感じてしまう。

 好きだと自覚した相手と同じ苗字を名乗るのが、これほど照れくさく、嬉しいものだとは思わなかった。

 何より奏の隣は酷く居心地がいいのだ。

 柳本の手のひらでコロコロと転がされているのだと思うと癪なのに、どうでも良くなってしまうほどに。

 けれども両家の顔合わせ後に執り行われた結納の席で、奏の両親が何気なく漏らしたであろう本音が、ふわふわと浮き足立っていた穂乃香の心にストップをかけた。

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