フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
対して、あの変態男ーー社長は、春の柔らかな陽光が降り注ぐ窓際の自席で優雅に腰を据え、憎らしいほどに優美な微笑を湛えて、穂乃香の姿を満足そうに見遣っている。
その脇には、タブレット端末を手にした第一秘書の柳本と思われる細身の男性が控えている。
どうやらスケジュール確認が終わったところだったらしい。柳本は穂乃香に軽く会釈するとこちらに歩み寄ってくる。
そして穂乃香との簡単な挨拶を終えると柳本は久我山に業務連絡を始めた。
「久我山室長、例の件ですが」
柳本と久我山が言葉を交わしているのを尻目に、変態男と思いがけない再会を果たしてしまった穂乃香は、朝だというのにまるでオーラのように色香を振り撒く変態男の優美な微笑に、不覚にも見蕩れてしまっていた。
***
あの後、穂乃香は動揺しつつも社長ーー竹野内奏《たけのうちかなた》への挨拶を済ませた。
久我山と柳本はというと、さっさと社長室から退室してしまい、穂乃香は変態男と二人きりにされてしまっている。
そこに社長から耳を疑うようなビックリ発言を受けたものだから、困惑しきりだ。
ーーこの変態男は一体全体何をほざいてくれちゃってるのだろうか。
社長の第二秘書として雇われた穂乃香は、これからこの変態男を秘書としてサポートしなければならない。
だというのに、ボスの前で盛大な溜息と暴言を吐きたい心境だった。
ーーダメダメ。ここは職場なんだから落ち着かないと。
ぐっと拳を握り込んで堪えしのぐ。
「あの……それは、どういうことでしょうか?」