フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
運のいいことに、彼女にしつこく言い寄っているナンパ男がいた。
彼女はうんざりといった表情で幾度となく拒絶の意を露わにしているが、ナンパ男は気づかないフリを決め込んでいるようだ。
ここは助けに入って彼女と話すきっかけをなんとしても作りたい。
そんな思いでいたせいか、奏は条件反射的に行動に移してしまっていた。
それがまさかあんなことになろうとは思いもしなかったが、これもきっと運命だったからに違いない。
彼女をナンパ男から助けるはずが彼女からカクテルをぶちまけられ、放心状態に陥っていた奏の眼前で、突如として彼女の身体がぐらりと傾いでいく。
おそらくいきなり動いたせいで酔いが急激に回ってしまったのだろう。
その様がスローモーションのように視界に映し出されると同時、ナンパ男がこれ幸いと彼女の身体を抱き留めようとする。
それをすんでのところで阻止することに成功した奏は彼女の華奢な身体を胸に抱き寄せ、苛立ちを露わに地を這うような重低音を轟かせた。
「俺の大事な彼女にまだ用があるのか? それとも、警察にでも突き出してほしいのか?」
こんなにも感情を露わにしたのは初めてだ。