おともだち
お酒のボトルがコンコンと前に置かれ、私は自分が選んだシードルを手に取った。栄司はグラスにミントを入れてモヒートをつくっていた。栄司がドサッと隣に腰掛けると、距離を意識してしまう。
「俺、一時期ハマり過ぎてミント育てたことある」
「ええ、ベランダで? 」
「そう。でも虫ついたから家の中で育てて、そしたら忙しくてゆっくり酒飲む暇なくなって……」
「枯れたの? 」
「いや、ぶわっと育った。茎が紫のやつだから、観葉植物としても良かったんだけど、悔しいから飲み干した。うーん、こうやって飲む機会増えるならまた育てよっかな」
真顔で言うから、吹き出してしまった。
「ふふ、本当にハマったんだね」
「そ。ハマったらとことんなんだよ、俺。多江は? ミント好き? 」
「えっと……」
思いっきり顔に出ていたらしい。栄司は笑って
「ま、飲むときに買えばいっか」と悟ってくれた。
「ごめんなさい」
「いや、別に謝んなくても。あれだ、アイスのミントも嫌い? 」
「うん。絶対に選ばない」
「はは、歯磨き粉の味がするーって言うタイプだな」
「……何で分かったの」
「まぁ。割と飲みやすい酒が好きなんだな。覚えとく」
私がミント苦手なこととか、カクテルなら甘いのが好きなこと“覚えておく”だとか些細なことが嬉しくなって顔が緩んだ。
なんてことない会話が途切れると、間が持たずにお酒を口に運んでしまう。
「ペース結構早いけどイケんの? それ、口当たりいいからごくごく飲んじゃうと帰れなくなるぞ? 」
「あ、う、うん。大丈夫」
「そう? もうちょっと何か食べな」
そう言って前のお皿を勧めてくれた。
言葉のニュアンスから、栄司は今日私を帰らせる気で、チラと時計を確認する。まだ食事に時間が掛かるだろうし、もう少しお酒も楽しみたい。そうなると……する時間あるのかな。
「俺、一時期ハマり過ぎてミント育てたことある」
「ええ、ベランダで? 」
「そう。でも虫ついたから家の中で育てて、そしたら忙しくてゆっくり酒飲む暇なくなって……」
「枯れたの? 」
「いや、ぶわっと育った。茎が紫のやつだから、観葉植物としても良かったんだけど、悔しいから飲み干した。うーん、こうやって飲む機会増えるならまた育てよっかな」
真顔で言うから、吹き出してしまった。
「ふふ、本当にハマったんだね」
「そ。ハマったらとことんなんだよ、俺。多江は? ミント好き? 」
「えっと……」
思いっきり顔に出ていたらしい。栄司は笑って
「ま、飲むときに買えばいっか」と悟ってくれた。
「ごめんなさい」
「いや、別に謝んなくても。あれだ、アイスのミントも嫌い? 」
「うん。絶対に選ばない」
「はは、歯磨き粉の味がするーって言うタイプだな」
「……何で分かったの」
「まぁ。割と飲みやすい酒が好きなんだな。覚えとく」
私がミント苦手なこととか、カクテルなら甘いのが好きなこと“覚えておく”だとか些細なことが嬉しくなって顔が緩んだ。
なんてことない会話が途切れると、間が持たずにお酒を口に運んでしまう。
「ペース結構早いけどイケんの? それ、口当たりいいからごくごく飲んじゃうと帰れなくなるぞ? 」
「あ、う、うん。大丈夫」
「そう? もうちょっと何か食べな」
そう言って前のお皿を勧めてくれた。
言葉のニュアンスから、栄司は今日私を帰らせる気で、チラと時計を確認する。まだ食事に時間が掛かるだろうし、もう少しお酒も楽しみたい。そうなると……する時間あるのかな。