ロックオンされました。
 金曜の仕事帰り、仲の良い同僚と行きつけのラーメン屋へと立ち寄った。

 昔ながらの中華料理店といった感じで、オシャレな雰囲気とは程遠い、豪快さが際立っている店内だ。

 店員の「へいいらっしゃい!」と放つ声と雰囲気が、「おかえり!」と言ってくれているようで、ほっとさせられる。

 私と同僚の彼は、センスの良くない赤色のテーブル席に、迎え合うようにして座っていた。

 私の目の前に座るそのイケメンは、間違いなく豪快にラーメンを食べている。

 それなのに、なぜだか美しい。

 彼だけ貴族みたいに空気感が違うから、この店に似合わないと毎回思ってしまう。

 そのくせラーメンを啜ってからの咀嚼の回数はたったの6回。そしてゴックン。

 そんなワイルドなところもギャップに悶えるポイントだ。

 そんな飾らない彼といると、私はほっとさせられた。
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