ロックオンされました。


 彼の先祖を遡れば、どこかしらに貴族のDNAが混ざっているのかもしれない。そう思わせられるほどの高嶺の花みたいな存在。

 箸を持つ指の長さといったら、なんなの? と疑問を投げかけたくなるし、赤いテーブルの下で組まれた脚はムダに長いから、たまにコツコツと私の膝に当たったりして、ドキリとさせられる。


 腕の筋肉も程よくあって、肩のカーブ具合なんて絶妙な角度。それに首の胸鎖乳突筋なんて超セクシー。

 ラーメンを咀嚼後、ごくりと飲み込む度に上下する喉仏までが魅力的で、思わず拝みたくなるほどだ。

 ただのラーメン屋でラーメンを食べてるだけで絵になるんだから、私、一緒にいてもいいのかしらって思ってしまう。

 彼の食べてるラーメンだけが、高級ホテルの何かしらのオシャレな麺類に思えてしまうから不思議。

 私は、目の前の彼に悟られないように、さり気なく見惚れながら、豪快に麺を啜った。
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