偶然?必然?運命です!

「ふぅ……」



お風呂にも入って、ようやく一息つく。


岸井さんのTシャツは……洗いました。


泣く泣く。


“また会えた時に返してくれ”



と言われたから。


私は“また”会う気満々だから。



それに匂いは完璧に覚えたから!!


小さな頃から、鼻はよくて。


覚えておきたい匂いは絶対に忘れない。


父もそうらしい。


友達からは、「前世は警察犬だったんじゃない?」なんて言われたこともある。


明日は新しい学校だから早く寝ないといけないのに、気持ちが高ぶって眠れない。


だって……



恋をしてしまったんだもの。


とうとう、とうとう私もっ。



「あー?」


「えー?ご機嫌だねって?」



コロリンと私のベッドに寝転んでいた璃遠が話しかけてくる。


もう0時になるところなのに、こんなに瞳をランランと輝かせて、とんだ不良ベビーだ。



私は璃遠を抱き上げ、出窓に座った。


寝やすいようにスモールランプにしているから、程よく暗い室内から綺麗な星空とほんの少しだけ欠けた月が見える。


この家の中で一番のお気に入りの場所だ。


窓を空かすと気持ちの良い風が入ってくる。



「父と母には内緒よ?」


「あー」



凛々しい表情で、わかったと頷く璃遠。


この子、本当に一歳かな?


賢すぎないか?


私が一歳の時なんて……



食う寝る遊ぶ泣く、と本能のままに生きていた気がする。



「う?」


「ああ、ごめんごめん」



ご機嫌な理由を聞かれていたんだっけ。
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