叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 「何があったんですか?」

 私は彼の横顔を見ながら話を聞いた。

 「次期総帥就任間近だった父は、仕事が忙しくて家庭を顧みることがほとんどなかった。具合の悪くなってきていた母に気付くことがなかった。母も父のためにそのことを内密にしていたんだ。病気が進行して、今度は父の足手まといだと言って、この別荘へ俺と越してきたんだ」

 「そうだったんですね……」

 「母は寂しそうだった。近くで見ていたから俺にはわかっていた。父は母のことを愛していたが、母が悪くなっていくのを見ながらおびえていたんだと思う。会いにくるのを怖がっていた」

 「そんな……」

 「父は母が亡くなってから、仕事をあまりやりたがらなくなった」

 「そうだったんですか……」
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