冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

ホームで電車待ち。

「そっかぁ、誕生日が重なってるんだね」

さっき朝陽君から得た情報を和香に伝えると。

「じゃあさ、明日、学校帰りにプレゼント買いに行こうか!」
「え、いいの?」
「もちろん!!久しぶりにまどかと買い物したいしね」
「ありがとぉ~」

いつだって和香は、私の心を察してくれる。

「初カレの誕生日でしょ~?何がいいだろうね」
「……何でも持ってそうだよね」
「別に被ってもいいんじゃない?まどかから貰えるものは何でも嬉しいと思うよ?」
「……だと、いいけど」



翌日の放課後。
和香と2人で新宿のお店を廻って、必要なものを買い揃えた。

「今からで、間に合うの?」
「……たぶん」
「今日入れても、あと3日だよ?」
「何とか、仕上げる」
「ホント、頑張り屋なんだから。でもやるなら、目一杯愛情詰め込むんだよ?」
「うんっ」

溜息交じりに励ましてくれる和香。
日数が無いけれど、今までの気持ちも込めて手作りしようと思って。
あとは、自宅で黙々と作業するだけだ。

その晩。
一晩かけてデザイン画を描き、翌日と明後日を使って渡せるレベルに仕上げる予定だ。

「喜んでくれるといいんだけどなぁ…」

何事にも打ち込むタイプのまどかは手先も器用で、部屋にはハンドメイドのものが沢山ある。
和香からの『世界に一つだけの特別感あると喜ぶんじゃない?』という言葉に触発された。
『1』という類似がない、特別で完璧なたった1つのモノを。

「あとは色目がちゃんと出せるかだなぁ……」

テーブルの上に並べられた材料を眺め、久しぶりの高揚感でドキドキと胸が高鳴っていた。

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