冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心


「では、うちのクラスの文化祭の出し物は、レンタルコスプレ写真館に決定します」

文化祭の出し物を決めるために意見を集い、集計の結果、レンタルコスプレ写真館に決まった。
クラス全員で自前の服や小物を持ち寄り、レンタルで衣装を貸し出したり、その場で記念撮影したりするというもの。

客寄せとして朝陽と廉がイメージキャラクターとして宣伝ポスターを飾る。
近隣の学校の生徒が来ることも予想し、ある程度のコンセプトを幾つか決めることとなった。

袴や浴衣を使用しての和装仕様、ドレスやスーツを使用してのパーティー仕様、パジャマや部屋着を使用しての和み仕様。
その他にも、デート仕様や習い事仕様などコンセプトは色々。

各自、自宅にある服を写メして衣装の一覧表を作ることとなった。



文化祭当日。
9月下旬ということもあって、少し秋風が吹き抜けるような晴れ渡った土曜日。

学校周辺の公共交通機関や病院、店舗など至る所に文化祭のポスターを貼ったお陰で、朝から沢山のお客さんの姿が。

朝陽と廉は、ビシッとスーツ姿でお客をもてなす案内役。
お陰で2年2組の前には朝から長蛇の列だ。

まどかはクラス委員として生徒会や実行委員の仕事もこなしながら、12時近くになって漸く自分の教室へと戻って来れた。

「小森さん、ちょっといい?」
「あ、……うん」

クラスメイトの結城を始め、隣りのクラスの園田(そのだ) 真由子(まゆこ)とあと数人に囲まれ、まどかは人気のない西棟へと呼び出される。

「小森さん。この間、上條君とは付き合ってないって言ってたよね?」
「……うん」
「じゃあ、これは何?」

まどかの前に差し出されたスマホの画面に、上條君と仲良く話すまどかの姿が写っている。

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